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NORAがこの1年間に取り組む3つの柱

2020年8月24日、NPO法人よこはま里山研究所の第21期通常総会を開催し、準備した議案書は承認されました。
その中の事業計画のうち、総論を書いたので、ここにアップしておきます。


2000年の設立したNORAは、2020年にちょうど20周年を迎える。これまでの活動を振り返り、これからのNORAのこと、里山のことを考えるのに適した1年であろう。

今日のNORAをめぐる外部環境として、まずは世界的な環境意識の高まりを挙げることができる。2015年に国連がSDGsを採択し、同じ年に気候変動に関わるパリ協定が合意されたことにより、持続可能な社会・経済活動のためには環境保全が必要であるであるという認識が高まっている。また、日本においては、少子高齢化の影響などから低成長時代が長く続いており、さらに新型コロナウィルスの感染拡大によって、東京一極集中に象徴されるような過密な都市への集住が見直され、地方・自然を求めて「里山とかかわる暮らし」「里山をいかすシゴトづくり」への関心が高まっている。こうした状況はNORAにとってプラスに働くはずであるが、一方で運営に関わる中心的なメンバーは固定化してきていることから、事業の内容や実施方法、広報手段、運営体制等を広範に見直し、組織基盤を強化することが必要となっている。

このような状況把握から、第21期中に取り組むことを3つ挙げる。

1.2030年を見通したビジョン・中長期計画の作成

ミッション・ビジョンを確認しつつ、その方針に基づいた事業内容、運営体制、資金調達を包括的に検討して、2030年を目標年とした中長期計画にまとめる。そのための材料として、2019年12月に開始したシリーズNORAサロンでの話題提供と議論を参考にする。また、プロボノの知恵を借りて、ウェブマーケティングの手法も取り入れる。ビジョンや中長期計画をNORAに集う一人ひとりの自分事にするには、何を作成するかよりも、どのように作るかというプロセスの方が重要である。会員・関係者それぞれが10年後を想像し、2030年にどのような世界を実現したいのかと自由に夢を語り合い、コミュニケーションの質を深めて、SDGs時代・ウィズコロナ時代にふさわしい計画の作成に取り組むこととする。

2.コーディネーターを中心とした「はまどま」運営の社会実験

改修後の「はまどま」を「街なかの里山の入り口」として積極的に活用するために、2020年8月からコーディネーターを置き、蒔田地区をモデルとして、地域との連携を拡げながら課題解決や価値創造に努め、持続的な場づくりを図っていく。従来通りに、各プロジェクトの自律性に基づく組織運営のあり方を維持しながらも、運営スタッフの個人的な献身に依存しないようにすることが必要であることから、段階的に運営の仕組みをつくりながら、適宜、運営スタッフの増員、ICTの活用、アウトソーシング等も進めていく。

その中でも優先すべきこととして、改修後の「はまどま」のお披露目会を開くこと、「はまどま寄り合い会議」のメンバーと定期的に意見交換する機会をつくることがある。また、コロナの影響による活動制約に対して、さまざまな工夫が求められるが、たとえば、活動場所を「はまどま」のみと捉えるのではなく、蒔田公園をはじめとした周辺まで含めて考えてみたり、オンラインとの併用を進めてみたりしてもよい。さらに、活動の制約が解かれるまでの間に、スタッフ側のスキルアップに力を入れて、個々の伝える力・巻き込む力を高めることも重要であろう。

3.20周年記念事業の検討・実施

設立20周年を記念した事業として、何が適切であるのかをよく検討したうえで実施する(予算規模50万円)。設立10周年記念事業ではフォーラム「横浜発・里山がつなぐ地域と未来」を開催したが、20周年はイベントではなく、成果物として残るもの、それも回顧的な内容にとどまるのではなく、未来の活動を担う人たちに向けて発信する価値のある内容にしたい。

里山保全ボランティア団体の現状を見ると、横浜市内に限らず、どの地域でも高齢化・固定化の問題が深刻になっており、NORAもまた年々高齢化が進行している。一方で、多摩三浦丘陵群の里山では、20-30代の起業家が生まれたり、子育て世代が自主的に共同で畑を借りて、自給用の作物を育てたりする例は珍しくない。つまり、参加者層は異なるものの活動内容や価値観には共通性が多いので、NORAが20年間にわたり蓄積してきた経験は、こうした未来の活動を担う人たちのニーズに、かなり応えられると思われる。ただし、参加者個人の経験は時代状況によって相当異なることも踏まえる必要があるだろう。そこで、わかりやすい言葉で視覚的にも伝えられるような表現手段、たとえば絵本のようなものを制作することが考えられるだろう。その際、NORAが「里山とかかわる暮らしを」勧めている対象が、都市に暮らす人たちをイメージしていることから、さらに、②の事業展開のことも含めて考えると、街なかの視点から里山について描写するという語り方・描き方が求められるだろう。

以上のような活動を展開しながらも、定例の自主活動(ヤマ・ノラ・ムラ・ハレ・イキモノ)も着実に継続し、「根を持つことと翼をもつこと」を両立させていく。

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