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誰ひとり取り残さない環境論Part3-生きられた経験・地域の歴史を未来に生かす

梨の木ピースアカデミー第5期で、私はコース18「誰ひとり取り残さない環境論 Part3―生きられた経験・地域の歴史を未来に生かす」(隔週火曜19-21時)を企画しました。
今回も私が熱望した素晴らしい方々をゲストにお迎えします。
コース受講をお勧めしますが、単発受講も可能です。


コース概要: このコースでは、脱炭素・自然エネルギー、諫早湾干拓、三里塚闘争・成田空港問題、聞き書き甲子園、公害資料館ネットワーク、気候市民会議と各回のテーマを掘り下げながら、SDGsが目ざす「誰ひとり取り残さない」環境のあり方を考えます。ここで言う環境とは、人間と対立的に用いられる言葉(人間か環境か)ではなく、人が人間らしく生きる場(人間の生を取り囲むもの)として捉えています。今回は、これまで人びとが各地の環境をまもる/つくるために力いっぱい生きてきた経験と、それを地域に刻んできた歴史を学び、未来の環境づくりについて考えます。

曜日 : 火曜日 原則隔週
時間 : 19:00-21:00
開催方法 : オンライン開催・定員50名
コーディネーター:
– 松村正治(環境NPO代表、大学教員)

◆第1回 自然エネルギーと地域社会~対立から構造転換へ

開催日 : 2021年11月9日(火)19:00-21:00
講師 : 茅野恒秀(信州大学)
概要 : 全世界的に脱炭素社会への転換が叫ばれ、日本でも固定価格買取制度(FIT)によって太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーが急増しています。と ころが、各地で自然エネルギーの開発が地元住民の生活環境を脅かし、社会問題を引き起こしている例も後を絶ちません。この背景にある、日本社会が幾度も直面してきた土地の保全と利用をめぐる問題の構図について解説し、自然エネルギーが本来もつポテン シャルを引き出すための社会のあり方を共に考えます。

◆第2回 写真から見る諫早湾干拓問題~干潟とともにある未来へ

開催日 : 2021年11月23日(火)19:00-21:00
講師:富永健司(本明川と干潟を語る会)×川尻剛士(一橋大学大学院生)
概要:豊饒な干潟と文化を有した諫早湾が、国営諫早湾干拓事業にもとづく潮受け堤防によって分断(1997年4月)されて来年で四半世紀を迎えます。諫早湾干拓問題をめぐっては現在に至るまで法廷闘争を含めてきわめて複雑な経過を辿り、当該地域に生きる人々を翻弄してきました。
今回は、地元の写真家として自らのファインダーをとおして昭和50年代から変わりゆく諫早湾の風景を見つめ続けてきた富永健司さんにお話を伺います。富永さんの写真をはじめとする問題提起から、いま一度、干潟とともにある未来とその意味を語り合いたいと思います。

◆第3回 成田空港建設をめぐる紛争史に向き合う

開催日 : 2021年12月7日(火)19:00-21:00 
講師: 相川陽一(長野大学)
概要 :グローバリゼーションという用語がひろまる前から、日本では高速交通網の建設をめぐる紛争が発生していました。第3回は、1966年にトップダウン型で建設決定がなされ、紛争状態が長く続いてきた成田空港問題を取り上げます。半世紀を経て、様々な立場でこの紛争に関わった当事者の高齢化が進んでおり、記憶を記録として残すための取り組みが必要な時期を迎えています。講師が聞き取り調査や資料収集・整理の経験から得た知見を共有し、現在と未来に継承すべき経験や教訓について、受講者の皆様と討議します。

◆第4回 「聞く」ことからつなぐ未来~聞き書き甲子園の20年

開催日 : 2021年12月21日(火)19:00-21:00
講師: 吉野美保子(NPO法人共存の森ネットワーク)
概要 : 聞き書き甲子園は、全国の高校生が、農山漁村で暮らす「名人」を訪ね、一対一で、その知恵や技術、心を「聞き書き」し記録、発信するプロジェクトです。「名人」の多くは、自然とともに生き、先人の暮らしや文化を受け継いできた70代以上のご高齢の方たち。その記録は1700作品を超えました。高校生は、名人の人生をていねいに聞き、自身の思いを「名人」に重ねながら、作品を書き上げていきます。そんな彼らの作品から、かつての持続可能な日本の姿と、これからの私たちの生き方・働き方について考えます。

◆第5回 公害資料館ネットワークと『公害スタディーズ』

開催日 : 2022年1月4日(火)19:00-21:00
講師:林美帆(みずしま財団、公害資料館ネットワーク)
概要 : 公害の記憶は「困難な歴史」です。被害を受けた当事者は「二度と繰り返して欲しくない」と願い、経験の継承を希望します。一方、「困難な歴史」ゆえに、学習者の学ぶことへの拒否感が強くなることも否めません。また、被害を受けた当事者の中にも、苦しいことを思い出したくないということから「寝た子を起こさないでほしい」と考える人も多くいます。そのような中で、公害の経験を伝える場である公害資料館は、ネットワークをつくり、議論を重ねてきました。10月に刊行する公害教育の入門書『公害スタディーズ』を元に、「公害を学ぶこと」について語り合いたいと思います。

◆第6回 気候市民会議と民主主義のイノベーション

開催日 : 2022年1月18日(火)19:00-21:00
講師:三上直之(北海道大学)
概要 :今世紀半ばをめどに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする、という目標が国際的に共有され、実現に向けた動きが活発になっています。この劇的な転換をどのように進めるべきかをめぐって、欧州の国や自治体では、くじ引きで選ばれた市民が議論し、政策提言する「気候市民会議」が開かれるようになっています。日本でもすでに札幌市や川崎市などで同様の取り組みが行われています。こうした動きと、その背景にある「民主主義のイノベーション」という潮流についてお話しし、将来の環境や生活、社会の姿を決定づける選択を、私たち自身の手に取り戻す方法を考えます。

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