2025年元日配信の「里山と暮らしをつなぐメールマガジン」が、記念すべき200号となった。
2008年6月に創刊号を配信して以降、今年で18年目に突入したことになる。
この機会に、創刊号がどのような内容だったのかを調べてみた。
→「里山と暮らしをつなぐメールマガジン創刊号」(2008.6.1)
冒頭に、「NORAでもメルマガを発行することになりました。イベント・講座・プロジェクトの情報や、NORAが目指すことなどを、まずは不定期で発信します」と書かれている。
この頃は、まだ定期発行物を紙で発行している団体が多かったが、次第に情報発信に用いる媒体が紙から電子へと移行する時期にあったように思う。
そうした時流に乗り遅れないように、NORAもメルマガを開始したような気がする。
ところが、その後は毎月欠かさず配信してきたのだから驚きだ。
それまでは、紙媒体のニュースレター『のらくらぶ』を発行していた。
メルマガ創刊直前の2007~08年は、NORAらしい定期刊行物を丁寧に作ろうと考え、事務局スタッフに新たなメンバーを加えて編集委員会を立ち上げ、誌面をリニューアルして、季刊『のらくらぶ』として発行した。
編集会議では熱い議論が交わされ、取材にも力を入れたので、今でも読み応えがある内容となっている。
→「よみがえる『のらくらぶ』~編集会議が熱かった頃」
しかし、このときの熱量を保ちながら良質の刊行物を出し続けることはできず、
1年間4号分を発行して一区切りを付けることにした。
その代わりに、誌面にレイアウトする必要がないメルマガであれば、
編集作業が楽になるので、気軽に出せるだろうという考えだったように思う。
2007~08年頃、NORAは経営的に厳しい状況にあり、組織変革が必要であった。
運営体制を見直すなかから、常勤の事務局スタッフを雇用するのではなく、常勤職員が担っていた事務や広報などを、多くの会員で分担することにした。
その一環で、編集委員会を立ち上げたのだが、それも長続きせず、会員参加型のメルマガを出すことになったのだ。
また、事務所として利用していた空間についても、会員参加による運営委員会が中心になって運営することに決めたばかりで、メルマガ創刊時は現在の「はまどま」は「NORAスペース(仮)」と記され、まだ名前が決まっていなかった。
メルマガを発行し始めたとき、「日本一長いメルマガにしよう」と言ったことを覚えている。
この意図は、限られた誌面という制約がなくなった利点を生かし、多くの会員がそれぞれ自分の言葉で表現できたら面白いだろうと思ってのことだ。
メルマガに理事がコラムを書くようになったのは2008年10月発行の第5号からで、ちょうど独自ドメインを取得して、ホームページをリニューアルしたときだ。
最初は石田さんと私で始め、第7号からは三好さんも加わった。
私は、多忙のときや体調が悪いときなど、これまでに何度もコラムを休みにしようという考えが頭をよぎった。
内容はともかくも毎月コラムを書いてきたのは(毎月1日に原稿をアップするとき、書きかけのときは何度もあったけれど)、このときから休まずに書き続けてきた石田さんと三好さんがいたからである。
とても一人では書き続けることはできなかった。
この機会に、感謝の気持ちを伝えたい。
その後、コラムの執筆陣は増え、吉武さんによる季節を感じる巻頭言を含めると、現在は毎月7名がメルマガの配信に合わせて文章を書いている。
これらは、内容も書きぶりもまちまちだが、編集長的な立場にある私が原稿に手を加えることはない。
それぞれの個性が表現される文章を、できるだけそのまま示すことが、多様性を特長とする里山に学ぶNORAにとって、ふさわしいと考えるからである。
メルマガにはコラムのほかに、NORAのサイトにアップしたお知らせ、イベントの告知記事、SNSの投稿記事の紹介なども含まれる。
これらウェブサイトやSNSの更新には、さらに毎月4名以上が関わっているので、このメルマガの配信には毎月少なくとも11名が参加している。
メルマガ編集チームの皆さん、ありがとうございます!
時は過ぎ、今日の情報発信はSNSが中心であり、メルマガに力を入れている団体は少なくなっていると思われる。
毎月受信している人からすると、代わり映えがしないとか、分量が長すぎるという感想を持ってもおかしくない。
もっとも、発行している側からすれば、毎月1日に配信するとサイトへのアクセスは増加するので、PR効果は確実に認められる。
さらに、私がそうした広報の効果よりよりも大事だと考えていることは、会員の参加する場となっていることである。
このメルマガには、NORAから読者に情報を伝えるという目的に加え、配信するまでのプロセスに毎月10人以上の会員が関わる場を提供している。
つまり、メルマガを配信することがコミュニティづくりであり、NORAコミュニティをコミュニティたらしめる実践なのである。
このように多様な会員が参加する場をつくるコミュニティ実践を、NORAの活動のあらゆるところに埋め込みたい。
「里山と暮らしをつなぐメールマガジン」の200号発行にあたり、この思いを書き記しておく。