森づくり活動の今とこれから(コメント・活動紹介)

森づくり活動実態調査に対するコメント

みなさん、こんにちは。今日はこのコメントと、後で活動紹介もするのですが、コメントする立場としては、恵泉女学園大学の教員をしております。

私が大学院の研究対象として森林づくり活動にかかわり始めたのは1998年のことです。後にコーデイネーターをされる松下さんが講師をされている場にも参加していました。その後、そういうことを勉強しながら、一方でNPOの代表を務めています。

森林ボランティアは制度化されることで定着してきた

私も90年代の森林づくり活動で思い出したのは、当時はムーブメントとして盛り上がっていたなということです。当時は横浜にも「よこはまの森フォーラム」という団体があり、新しい動きをしていました。公園のなかでの市民参加に加えて、森林にもどんどん市民が人っていっていました。その頃の「フロンティア」、「コモンズ」と言い換えてもよいかもしれませんが、所有者だけでは森をうまく生かせないので、そこに新しい人たちが関わって森をつくっていました。

そうしたボランティア活動がいま、行政の側でも受け入れられて制度化されています。それが「衰退」というふうに見える部分はあるのかもしれませんが、制度化して社会に定着しているとも言えると思います。

一方で、社会化されていくと公共的なサービスとなり、団体としてのマネジメントが必要になってきて、リスク管理、組織運営のマネジメント、そして中長期計画が必要になっていきます。つまり、全体的なマネジメントが必要になってくるのです。そうして「管理、管理」となってくると、最初の頃に起こっていた運動の「自立性」や、新しいことを始めていく「自発性」とうまく合わなくなってきているのかなと思います。制度化されるにしたがって、初期のカリスマ的なリーダーたちが引っ張っていった賑やかさとか、ちょっとした危なさみたいなものがだんだん感じにくくなっていて、一抹の寂しさを感じるところです。

だんだん行政に取り込まれていくことは、「社会化」されているとも言えるけれど、一方ではただ課題を言うだけになってしまい、自分たちの責任がどんどんなくなってくるような気がしています。やはり「課題」と「責任」はワンセットで抱えているものです。つまり、「課題を担う責任感」ですね。そのあたりのバランスが少し悪くなっているのかなと思います。今回の調査でも、「課題というのは、本当はなんだろう」ということを考えるべきです。お金はあったほうがいいですし、人はいたほうがいい。しかし、それを引き受けて自分でこなすだけの気合いが入っているか、そうした意識があるか、というところが大切なのではないかと思います。

その点で、これまでの林野庁が調査を行っていた時代とは違い、全国ネットワークである森づくりフォーラムが実施していることで期待したいのは、なんのために活動しているのか、そういったことを踏まえた検討を続けてもらうことです。もちろん森づくりフォーラムだけに頼るわけではなく、私たちでも考えたいですが、ぜひ、そういったことでも引っ張って欲しいと思っています。


NPO法人よこはま里山研究所|活動紹介

再登場の松村です。

設立の背景や経緯ですが、1980年代から横浜市内の里山保全活動が始まっていまして、90年代にだいぶ広がり、1996年に市内の10団体で「よこはまの森フォーラム」というネットワーク団体を結成しました。当時行政と協働しながら事業を進めていましたが、その団体は解散しました。そのときに知り合ったメンバーと「せっかく出会ったし、ここで何か新しいこと始めたいね。里山保全とボランティア支援を仕事にしよう」と立ち上がったのが、よこはま里山研究所です。

私たちの活動は、大きく5つに分けられます。都市住民がH常的にヤマ・サトやムラをつくり、ハレを楽しみながら生き物を守りつつ、ということで「ヤマの事業」「ノラの事業」「ムラの事業」「ハレの事業」「イキモノの事業」があります。

森づくりに関わることとしては、山の定例活動が2種類あり、「NORAの山仕事」「竹を活かす山仕事」があります。

「NORAの山仕事」は、保上ヶ谷バイパスのすぐ横の、旭区の川井緑地で行なっているものです。正式名称は「川井特別緑地保全地区」で面積は5.3haです。横浜市の森づくり団体活動支援要項に基づいてしっかりと契約を結び、保全管理を行なっています。定例活動日は第2、第4日曜日です。

ここで活動を始めた経緯は、まず2003年の11月に地主さんが、ゴミの不法投棄の問題で私たちのNPOに相談にこられて、仲良くなりました。近くに旭高校という高校があるのですが、生徒やPTAや地域住民をまきこんで、とにかくゴミを出そうということで、5年間で40tのゴミを出し、ようやくきれいになりました。その後は森林再生、緑地再生をしていこうということで、下草刈り、除伐間伐、植樹などを行なっています。

コンセプトは「利用のできる森づくり」で、保全活動をするだけではなく、利用に活かそうということです。木材は使うことを想定して規格化していこうと、直径20cm以上のものは製材機で製材し、20cm以下のものは薪に使っています。この木材は、緑地外周道路のウッドデッキや、事務所のカウンターなどで使ったりしています。

また森林空間利用ということで、森林体験を行っています。作業をしたい人ばかりを集めると年輩の男性中心になってしまうのですが、森に入ってくつろぎたい、和みたいという人もいますので、申し込みををするときに「がっつり系か和み系のどっちがいいですか」と聞いて、和み系の方にはハンモックで遊んでもらったりとか、料理して楽しんだりしてもらっています。

「竹を活かす山仕事」は、神奈川県の中井町の竹林で活動しています。私たちの団体は野菜の販売もしているのですが、知り合いの農家の方が竹林の管理に困っていました。「じゃあお手伝いをしましょう」と始めたものです。

ここはマダケ林なので、神奈川県の水源環境税を使った補助金を利用して、これを竹細工の材料として出しています。切った竹は山で割って事務所にもっていき、月に1回ずつ、竹かご教室と竹細工工房を開催しています。

こういった活動のほか、ボランティアの高齢化問題に対しては冊代交代していこうと、2012年からは「よこはま里山レンジャーズ」というプロジェクトを行っています。これは、NPO法人自然環境復元協会のレンジャーズプロジェクトの仕組と連携しており、それを横浜市内の里山保全活動で展開しているものです。昨年からは、日本環境保全ボランティアネットワークと連携した「里山保全ボランティア若手リーダー育成」を、また今年からは「まちの近くで里山をいかすシゴトづくり」という仕事づくりをテーマにしたプロジェクトも立ち上げています。

「レンジャーズプロジェクト」は、横浜市内の各団体に登録しているボランティアを派遣するというものです。まず、ボランティア登録をしていただきます。いまは2,200人くらいが登録されているのですが、「週末にここで活動します」といったときに10から15名とかを募って対応するといった活動です。「里山保全ボランティア若手リーダー育成」は、ボランティアをしたい若い人は結構いるのですが、ボランティア止まりのことが多いので、やる気のある人に対してもう少し高いレベルでリーダーになっていただくために、「楽しい森づくりを担う」リーダーの養成を行っています。1日目はリーダーに関わる講習、2日目に実習というものです。

「まちの近くで里山をいかすシゴトづくり」は、若いときのボランティアは体験にはなるけれど、そのあと仕事としていくのは難しいということで、里山をいかす仕事づくりをテーマにワークショップを行いました。今年の1月に2回開催して、70名ずつが参加したのですが、参加者は20代から50代で、中心は40代でした。やはり、仕事ということにすごく関心があるのだろうなと思いました。90年代から森づくりをしてきた人と話し合って新しい戦略を練り、若い人を確保して活動を進めていこうとしていますので、興味関心のある人はよろしくお願いします。

森づくりフォーラム主催シンポジウム「森づくり活動の今とこれから―林野庁補助事業森づくり活動実態調査より」(東京大学弥生講堂アネックス), 2016年3月6日.


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