次世代に継ぐ森林づくりのために

森林側とニーズが上手く結びついていない

テーマ③は、「新規参加者を獲得するためのポイント」ということで、最初に鳩の巣協議会の小島さんから話題提供をしていただきました。
小島さんからは最後のまとめとして、広報や告知が多様化しているということで、「特に若い人に向けてなにか発信する時には、若い人たちに届くような広報が必要だ」とか、「行政の技術講座などが入口になっているので、これはとても助かっている」といったお話もありました。
その上で、集まってくださった皆さんからいろんな課題を出してもらったのですけれど、「いろんな自治体で森林ボランティアを育成する講座はあるけれども、どこも最近定員割れが起こったり、人が集まらなかったり」という話がありました。一方で、「例えば自己実現だとか、森と関わるニーズは意外に高まっているじゃないか」という話もあって、それらが上手く結びついていない可能性についての指摘がありました。

獲得したい人たちがなにを求めているのかを知り
そこに届くコミュニケーションやツールを持つ 

新規参加者を獲得したいという場合、獲得したい人たちに届くようなコミュニケーションやツールを持っているか、そして、その人たちが一体何を求めているかを知る必要があるということに尽きる、ということです。
例えば、若い人たちに来てほしいって言っても、若い人たちはいま忙しくて、留学にも行きたい、インターンシップにも行きたい、ボランティアもしたいのです。そんな若い人が、ボランティアで何を身につけたいのか、何を学びたいのか、何を得たいのかについて、なにも分からないままにして「来てください」と言っても、1度は来てくれるかもしれませんが、すぐに他のところへ行ってしまいます。留学で身につくものに比べて、ボランティア体験で
はどんな成長ができるのか、それについて語る言葉がなければ、またその体験が響かなければ、新規参加者の獲得といっても無理なのだろうなって思いました。
20代の初めの頃は、本当に忙しくてなかなか参加できないけれど、20 代後半~30 代くらいからだと、自分がどうやって生きていくのかを考えるようになります。そういう人たちが、自己実現とかを考え始めるわけです。そういったニーズは広がってきています。
そういう人たちは、実は森林ボランティアをいままで支えてきた層とスキル的にはあまり変わりません。むしろ、目指していること自体はもっと広がってきているのかもしれません。森だけではなく、農作業もしたい、海での暮らしもしたいといった人たちは、潜在的に増えてきていると思います。これだけ社会が不安定になっていて、3.11 も経験してきている中にあって、森林ボランティアで身に付けられるいろんなスキルや、そこで出会う仲間は、ものすごい財産のはずなのですが、そのポテンシャルを上手く活かしきれていないような気がします。

獲得したい人たちにマッチしたデザインも必要
それができなければ、できる人に頼もう

そういう人たちがなにを求めているかをちゃんと捕まえて、その人たちに届けられるコミュニケーションツールを持っていれば、問題ないのかもしれません。しかし、あいにく私たちは、例えばチラシをつくるにしても相変わらずWordで、MS明朝を使っているので、そういう人たちが、いいねって思うデザインではないわけです。そういうところは、あらためなければならないでしょう。
同じ情報であっても、目で見て「これは私たちが求めているものじゃない」と思われてしまうんです。それはつまり、デザインが違うんです。だからチラシについても、あるいは広報についても、使う写真についても、いまそういう人たちをターゲットにしているところは、写真も専門の人が撮っています。小島さんの話だと、ボランティアの中には「そういう写真撮影をして、広報のお手伝いをしたい」というボランティアもいるそうです。話題提供の際にお話したWeb サイトも、実は、コミュニケーションの手伝いをするプロボノの人とつくったので、予算は全然かかっていません。そんな奇特な人もいるのです。
新規参加者を獲得しようと思うならば、自分たちが普段慣れ親しんでないような人たちの生活の実感だとか、コミュニケーションの仕方に触れていかなくてはいけないわけです。そこに思い切って入っていくか、入っていくのが自分で苦手なら、入っていくのが得意な人たち、当たり前のように写真を撮ってパパッとSNS にあげてしまう人たちがいるわけだから、そういう人と仲良くなってしまえ、というやり方の方がいいのだろうと思います。

新規参加者を獲得するということは
自らの枠を超えていくことへのチャレンジ 

森づくりにこだわらないという話もありました。いままで森林ボランティアは施業中心で、森づくりをコツコツやってきて、それはすごく大事なことです。しかし、そのつくった森をどうするのか、先のことをあまり考えていません。むしろキレイになった森で遊びたいだとか、子育てさせたいといったニーズはたくさんあるわけだから、そういう人たちと本当はもっと一緒になってやれたらいいですよね。そういうアイデアが森に持ち込まれることによって、いままで真面目にコツコツやってきた人たちが、違った人たちにとって魅力的になったりするかもしれません。その新しい人が、また新しい人を連れてくることもあるので、そういう意味では、自分のカルチャーを越えていく、自分の枠を超えていくということ、それ自体が楽しめないといいけないのではないでしょうか。
確かにニーズに応えることばかりやっていると、自分たちのやりたいことではなくなっていくかもしれませんが、ボランティアの人たちがやりたいことには、社会的ニーズが本当にあるのでしょうか。本当に新規参加者を獲得しようと思うなら、まず、新しい人に会うことを楽しいと思わないといけないし、それも自分の慣れ親しんだところを少し越えて新しくチャレンジしていくことなのかなと思います。
ディスカッションを進めて、こんなふうに感じました。

緑のボランティア活動助成セミナー2018(主催:公益社団法人国土緑化推進機構、共催:NPO法人森づくりフォーラム)テーマ別セッショントーク「躍動する団体に共通するポテンシャルとは!?」テーマ③「次世代に継ぐ森林づくりのための新規参加者を獲得するためのポイント」(弘済会館), 2018年2月17日.


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