梨の木舎ピースアカデミー「誰ひとり取り残さない環境論」

梨の木舎ピースアカデミー(NPA)は、昨年6月に第1期が10コースでスタートした市民講座。
原則隔週開催の6回連続講座で1区切りをつけるもので、先日、第2期の20コースが終了しました。
共同代表の一人が内海愛子さん、全体コーディネーターが李泳采さんで、恵泉の関係者が多数関わっています。
3月から始まる第3期は25コースまで増えるようで、私はそのうちの1つ、環境系のコース「誰ひとり取り残さない環境論―公害・環境問題の当事者性 」を企画することになりました。

本日2/11(木祝)から受付が始まりました。
第1回は3/2(火)で原則隔週火曜日19:00~21:00のオンライン(ZOOM)開催です。

タイトルはSDGs的ですが、流行を追うための情報提供が目的ではありません。
急いで多くを知るためではなく、立ち止まって深く考えるためのコースです。
私の環境社会学的な問題意識、調査研究上のネットワークを詰め込んだ企画です。
ご参加いただければ幸いです。

コース18「誰ひとり取り残さない環境論―公害・環境問題の当事者性」(梨の木舎ピースアカデミー)

コース概要 : このコースは、今日の地球環境の危機にたじろぐことなく、未来の環境-社会のあり方を、じっくり考えたい人に向けて開講します。さまざまな公害・環境問題の現場に詳しい研究者・実践者から、被害や対立の経験、問題の構造を学び、これまでの問題認識をアップデートします。日常生活からは見えにくいもの、仕方がないとされていることに対し、立ち止まって耳をすまし目を凝らし、感じる身体を取り戻します。そして、人が人として生きる権利(人権)を保障する観点から、人びとにとっての環境の意味や価値について理解を深め、考えるべき問題の本質は何かを問い、その問題を解決する方法について議論します。

曜日 : 火曜日 原則隔週
時間 : 19:00-21:00
開催方法と定員 : オンライン 50名
コーディネータ- : 松村正治(環境NPO代表、大学講師)

第1回 福島原発事故に引き継がれる問題群

開催日 :2021年 3月2日(火)
講師 : 関礼子(立教大学)

概要 :福島原発事故では、沖縄や広島・長崎、水俣から支援のメッセージが寄せられました。当初、震災ではない「災害」からの支援に戸惑いや反発もみられました。しかし、次第に、異なる問題、異なる世代の人々が、自身につながることがコミュニケーションされ、「結い」あうようになりました。新潟水俣病患者と避難者訴訟の原告との間に交流が生まれました。上野の「広島・長崎の火」は、ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ「非核の火」に引き継がれることになりました。第1回では、公害・環境問題は福島原発事故に生かされたか、福島原発事故の経験はどのように未来に生かせるのかを考えます。

第2回 水俣病に関わる葛藤と悩みを伝える

開催日 : 2021年3月16日(火)
講師: 永野三智(水俣病センター相思社)

概要 :水俣病センター相思社では、水俣病を二度と引き起こさないことを目的に、さまざまなツールを使い「伝える活動」をしています。水俣病を生み出した社会の構造を見つめるとき、チッソや行政やそれを肯定し支えてきた社会を批判するとき、その向こうには必ず自分がいます。私たちは当事者です。私たちが伝えたいことは、正義ではなく、正義の間に生じる葛藤や悩みです。知識としての教訓を伝えるのではなく、水俣病事件を通して、社会のあり方や生き方をともに考える時間になればと思います。

第3回 食品公害と親子―カネミ油症・森永ヒ素ミルク事件の被害

開催日 :2021年 3月30日(火)
講師: 宇田和子(高崎経済大学)

概要 :食品公害とは、製造工程で汚染された食品の摂取により生じる被害です。たとえば森永ヒ素ミルク中毒事件では、汚染された粉ミルクを親が子に与えました。カネミ油症事件では、汚染された油を家族で食べました。さらに、油の汚染物質は次世代の身体にまで引き継がれています。食品公害における親子の関係は、問題解決を阻む要因であると同時に、被害救済を実現しようとする人々の原動力でもあります。この回では、親子の関係をキーワードに食品公害問題の構造を読み解きます。

第4回 ダム事業のこれから―建設予定地に生きる住民の視点

開催日 : 2021年4月27日(火)
講師:浜本篤史(早稲田大学)

概要: 球磨川洪水にともなう川辺川ダム計画の再浮上など、近年、水害とダム建設の問題が改めてクローズアップされている。事業の是非をめぐっては科学的検証が不可欠だが、しかしその一方で、予定地住民の存在は軽視されがちでもある。そこで本回は、ダム建設予定地の住民がどのように翻弄されるのかを概説する。さらにそれを踏まえて、長期化したダム計画の継続/中止、既存ダムの維持/撤去を念頭においた課題を検討していこう。

第5回 NIMBYは地域のエゴなのか―迷惑施設の立地問題

開催日 : 2021年5月11日(火)
講師: 土屋雄一郎(京都教育大学)

概要:NIMBY(ニンビィ: Not-In-My-Backyard)というと、原子力発電所、基地、産廃処分場といった施設に関わる問題として捉えられることが多い。しかし現在では、保育園や救護施設などの対象が生活圏の中で「迷惑」として語られ、地域での紛争が顕在化しています。それだけに、これらの問題をどのような文脈とともに論じていくのかがとても重要です。いくつかの地域での経験に学びながら、NIMBYによって私たちがなにを問いかけられているのかについて考えます。

第6回 特別企画 石垣島の環境と開発―空港・リゾート・基地が奪う自然と文化

開催日 : 2021年5月25日(火)
話し手:山里節子(いのちと暮らしを守るオバーたちの会)
聞き手:松村正治(環境NPO代表、大学講師)

概要 :現在、石垣島では自衛隊基地の建設をめぐる対立が生じています。これは、米中対立を背景に進む琉球弧の軍事化と連なる問題です。地政学的な観点から軍事要塞として期待される石垣島には、多くの人びとが暮らしています。話し手の山里さんは、1980年代には、白保の海を埋め立てる新石垣空港建設計画の反対運動を支え、現在は少人数の仲間とともに基地建設に抗議されています。この回では、セッちゃんオバーから石垣島の開発史を伺い、私たちにとっての環境の価値や意味について考えます。

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